訪問介護の開設要件

介護事業者として介護報酬・予防給付を受け、介護サービスを行うためには、都道府県又は市町村に事業者指定申請を行い、許可を受け、「指定訪問介護事業者」となる必要があります。

「訪問介護事業者」の許可を受けるための要件は下記に記載の要件となります。

要件① 申請者が法人格を有すること

個人事業では訪問介護事業所の指定を受けることができません。

株式会社、合同会社、NPO法人、社会福祉法人等の「法人」が申請者であることが指定を受けるための大前提となります。

また、すでに会社組織である場合は、『定款の事業目的』と『登記簿謄本に記載されている事業目的』を確認して下さい。

定款や登記簿謄本に記載する事業内容が、介護事業の場合あらかじめ決まっています。

訪問介護事業を行う場合は、現在経営している法人の定款に、

「介護保険法に基づく訪問介護事業」
「介護保険法に基づく介護予防・日常生活支援総合事業」

というように、「介護保険」を利用した「訪問介護」「介護予防・日常生活支援総合事業」ということを事業内容として追加しなければなりません。

このように記載されてない場合は、定款・登記簿謄本の事業目的の変更手続を行う必要があります。

要件② 人員基準の確保

必要な人員については、介護サービスの種類ごとに異なりますので、ここでは、訪問介護事業で必要な人員について解説します。

管理者

専従で常勤の方1名を管理者として配置する必要があります。

〔管理者の資格要件〕

資格要件は特にありませんが、従業員及び業務の管理を一元的に行うことが出来、従業員へ指揮命令を行うことが出来る必要があります。訪問介護員やサービス管理責任者との兼務が可能です。

サービス提供責任者を配置すること

常勤の訪問介護員等のうち、1人以上をサービス提供責任者として専従で配置する必要があります(管理者との兼務が可能です。ただし、それ以外の兼務はできません)。

サービス提供責任者となるためには、下記の表のA~Dのいずれかの資格を有する必要があります。

〔サービス提供責任者の資格要件〕

介護福祉士
介護職員実務者研修課程修了者
看護師または准看護師
訪問介護に関する研修の一級課程修了者(ヘルパー1級免許保有者)
訪問介護に関する研修の二級課程修了者(ヘルパー2級免許保有者)であって、3年以上かつ540日以上介護等の業務に従事したもの

※事業規模に応じて、次により1人以上をサービス提供責任者とする必要があります。必要人数の算出にあたっては、A,Bのいずれか有利な方で計算して差し支えありません。

判断指標サービス提供責任者の必要数
月間延べサービス提供時間数450時間又はその端数を増すごとに1人以上
訪問介護員数(サービス提供責任者を含む)10人又はその端数を増すごとに1人

訪問介護職員を常勤換算方式で2.5人以上配置すること

まず、常勤換算方式とは、その事業所で働く従業員の週の延べ勤務時間数を常勤の従業員の週の勤務時間数(32時間を下回る場合は32時間)で除して計算します。

例えば1日8時間労働・週5日勤務の週40時間労働の場合は、『常勤換算2.5以上』という要件をクリアするために、訪問介護員やサービス提供責任者を総計して週100時間以上働かせないといけないことになります。

逆に言えば、週40時間働く方が2人、週20時間しか働かない方が3人の計5人いたとすると、常勤換算方式では、140時間÷40時間=3.5人となります。

訪問介護職員になるためには、以下のいずれかの資格等を有する必要があります。

〔訪問介護職員の資格要件〕

介護福祉士
介護職員実務者研修課程修了者
介護職員初任者研修課程修了者
訪問介護に関する研修の二級課程修了者(ヘルパー2級免許保有者)
看護師または准看護師

要件③ 設備に関する要件を満たすこと

専用の区画

事業運営のために必要な広さの専用の区画を設けること(広さについて明確な規定はありませんが、適正に運営するためには最低でも事務室6畳、相談室4畳の合せて10畳程度は必要になると思います)。

訪問介護事業以外の事業と同一の事務室であっても構いませんが、その中で明確に区分されている必要があります。

間仕切りがなくとも、指定訪問介護の事業を行うための区画が明確に特定されればかまわないことになっていますが、パーテーションやカーテンなどで区分しておいたほうが良いでしょう。

相談スペース

相談スペースは必ず設けなければなりません。基本的には4人程度が座れる机と椅子を用意していただき、それらが入るだけのスペースを確保していただきます。

相談スペースは他の事業と共有のものでも構いませんが、プライバシーが確保できるように、パーテーションなどで区切っておく必要があります。

設備及び備品

まず、感染症予防のため手洗い場が必要となります。

アパートやマンションを住居用ではなく事務所として借りている場合は、トイレや洗面所がついているので、それをそのまま利用すれば構いません。

オフィスビルなどでも、部屋の中に給湯室やトイレがある場合はそれで問題ありません。

部屋の中に無い場合でも同一フロアーに共用の手洗い場がある場合は、余程、離れていない限り構いません(もちろん、その共有の水道設備を感染症防止のための手洗い施設として使用が許可されることが必要です)。

その他、必要なものとして、鍵のかかる書庫、電話機・FAX機(一体の物でも可)、パソコン、手洗い用せっけん、消毒液などが必要です。

その他の注意事項

事務所については必ずしも会社が所有しているものでなく、賃借しているもので構いませんが、賃貸借契約は必ず法人名義で行ってください。

例えば社長個人の名義などは不可です。また、使用目的は必ず事務所である必要があります。

もし住居等になっている場合は、契約書を訂正してもらうか、所有者から承諾書をもらう必要があります。

なお、よく頂くご質問に自宅開業を希望される方がいらっしゃいます。

原則として、

住居と事業所のスペースが完全に区分されており、訪問介護事業所としての独立性が保たれている

という要件が満たされる必要がありますが、都道府県の対応も違いがありますし、住居の構造も確認してみないとはっきりとしたことが申し上げられません。

確認されたい場合は、自宅図面等をFAX頂くなど詳しく確認させて頂きますので遠慮なくお申し付け下さい。


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